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「聖珠伝説パールシード」紹介記事/「健部伸明のRPG EXPRESS」から

(「コンプRPG」Vol.4/角川書店/1992年8月31日発行)

『健部伸明のRPG EXPRESS』とは「コンプRPG」の初期に健部伸明様らによって連載されていたTRPG紹介記事ページです。
 発売当時の紹介記事です。
 健部先生、掲載許可ありがとうございました。

「きわめて簡単なおもちゃ箱、でも奥は深いぞ!」

 冒険企画局のわきあかつぐみと伏見健二がタッグを組んでデザインした、入魂の入門用RPG。とりあえず箱を開けてみると、中にはルールブックとシナリオブックが1冊ずつ、6面体ダイスが4個はいっている。しかしこのゲームはただの簡単ゲームではない。
 キャラクターには能力値もないし技能もない。クラスが「戦士」「盗賊」「魔法使い」「僧侶」と4種類あり、あつかう数字もHPとレベルだけ。ただし性格を3つランダムに決定する。たとえば「思慮深く、クールだが、さみしがりやの戦士」などとなる。性格はレベルが上がると少しずつ変化していく。まさに人間的成長というわけ。
 戦闘は「コンバットマトリクス」という、いわゆるクリティカル表だけを抜きだしてきたものを見ながらダイス2個を1回振る。結果は「いいぞ! 4ダメージだ」「確かな手ごたえだ。6ダメージ」など、必ず形容詞がつく。
 このゲーム、すべてがこんな感じだ。魔法もモンスターもその他の行動の判定もアイテムも、すべてマトリクスという表を参照して結果を導く。
 ルールはいたって簡単、数字はほとんどない。そのかわり、サイコロを振るたびに、とにかくその様子を表わす「ことば」がついてくる。モンスターや“しゃべる剣”が、戦闘中にいうセリフが、ルールで決められている初めてのゲームだろう。
 つまり、これは会話を楽しむためにあるルールなのだ。会話でシナリオが進行していき、ルールによって飛び出てくるさまざまな「ことば」をネタに盛り上がる。そういうゲームを狙ってデザインされたものなのであろう。
 状況に応じた精密な判定などないが、システムの表現力は無限大ともいえる。RPGの会話という要素を追求した作品として高く評価できる。
 ただ、すべてを表にたよっているので、ユーザーが新たな魔法のアイテムなどを作るには新たな表を作る必要がある。確かにルールブックにある表を参考にすればいいのだが、目安や留意点などを書いておいて欲しかった。

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